運動会の練習が始まってから、朝の行きしぶりが増えた。
「今日は練習ある?」と何度も聞く。
家では元気なのに、園や学校へ行く前になると泣いたり怒ったりする。
そんな姿が続くと、親は心配になりますよね。
「みんなと同じように参加してほしい」「休ませてばかりで大丈夫かな」と迷う日もあると思います。
でも、運動会の練習を嫌がる子は、やる気がないのではなく、音、暑さ、見通しのなさ、集団の動きなどが重なって、体も気持ちもいっぱいになっていることがあります。
この記事では、発達がゆっくりな子や発達凸凹のある子が、運動会の練習を嫌がるときに、家庭と園・学校でできる小さな工夫を整理します。
運動会の練習は、子どもにとって負担が重なりやすい
運動会の練習は、ただ走ったり踊ったりする時間ではありません。
子どもの中では、たくさんの刺激と作業が同時に起きています。
- 笛、太鼓、ピストルの音にびっくりする
- 列に並んで長く待つ
- 先生の一斉指示を聞き取る
- いつ自分の番か分からない
- 暑さや汗、砂ぼこりがつらい
- 体操服や帽子の感触が気になる
- 失敗を見られることが不安になる
大人から見ると「少しの練習」に見えても、子どもには一日分の力を使う場面になっていることがあります。
まずは「運動会が苦手なんだね」で終わらせず、「何が一番しんどいのかな」と分けて見ていきます。
最初の目標は「全部参加」ではなく「安心して参加できる形」
運動会が近づくと、親も先生も「当日までに慣れてほしい」と思います。
ただ、最初から全部を頑張らせると、練習そのものが怖い時間になりやすいです。
まずは、参加の形を小さくします。
- 見学だけする
- 最初の5分だけ参加する
- 得意な種目だけ入る
- 音が鳴る場面は少し離れる
- 先生の近くで待つ
- 終わったら休む場所へ行く
「全部できたか」より、「安心して戻れたか」を見ます。
運動会は、完璧に参加するためだけの行事ではありません。子どもが自分なりに集団の行事に触れる経験として考えて大丈夫です。
家庭でできる小さな工夫
1. 練習の流れを短く見える形にする
「今日は運動会の練習だよ」だけでは、子どもには何をするのか分かりにくいことがあります。
分からないまま行くと、不安が大きくなります。
家庭では、練習の流れを短く見える形にします。
- 体操服に着替える
- 園庭や校庭へ行く
- 並ぶ
- 1回だけ走る
- 水を飲む
- 教室に戻る
全部を細かく説明しなくて大丈夫です。
子どもが一番不安そうな場面だけ、絵、写真、紙のメモで見えるようにします。
2. 苦手なことを「音」「待つ」「動き」に分ける
「運動会が嫌」と言っていても、苦手な中身は子どもによって違います。
家で落ち着いている時間に、短く聞いてみます。
- 大きい音が嫌なのか
- 並んで待つのがつらいのか
- 走る順番が分からないのか
- 踊りを覚えるのが不安なのか
- 暑さや服の感触が苦手なのか
うまく答えられない子には、選ぶ形にします。
「音?」「待つ?」「走る?」と、短い言葉や絵で選べるようにすると、困っている場所が見えやすくなります。
3. 当日の逃げ道を先に決めておく
逃げ道があると、参加しやすくなる子がいます。
「つらくなったら終わり」ではなく、「つらくなったらここで休む」と決めておく形です。
- 先生の近くへ行く
- 日陰で水を飲む
- イヤーマフを使う
- 合図カードを見せる
- 1回休んでから戻る
休む場所や合図が決まっていると、子どもも大人も動きやすくなります。
安心して休める場所があることは、参加をあきらめることではありません。参加するための土台になります。
PR この記事には広告を含みます。
運動会の練習で音や見通しが負担になっているときは、耳を守る道具や、予定を見える形にする道具が助けになることがあります。園や学校で使う場合は、事前に先生へ相談しておくと安心です。
先生に伝えるときは、お願いを小さくする
園や学校へ相談するとき、親の頭の中にはたくさんの心配が浮かびます。
でも、最初から全部を伝えようとすると、何をお願いしたいのか分かりにくくなります。
まずは、次の3つに分けて伝えます。
- 今、家で出ている様子
- 子どもが苦手そうな場面
- 試してほしい小さな対応
たとえば、こんな伝え方です。
「運動会の練習がある日は、朝から不安が強くなります。特に大きな音と待ち時間がつらそうです。最初は音が鳴る場面だけ少し離れる形を試せますか」
先生を責める言い方にしなくても大丈夫です。
子どもが参加しやすい形を、一緒に探したいという伝え方にすると、相談が進みやすくなります。
朝の行きしぶりが出た日の関わり方
練習の日の朝は、親も時間に追われます。
泣いたり怒ったりされると、「今日は無理かも」と感じる日もありますよね。
そんな日は、説得を長くするより、今日の一歩を小さくします。
- 体操服だけ持っていく
- 校門や園の入口まで行く
- 先生に一言だけ伝える
- 見学から始める
- 帰宅後にできたことを1つ確認する
「行けたか、行けなかったか」だけで見ると、親も子どもも苦しくなります。
入口まで行けた。体操服を持てた。先生に会えた。見学できた。
それも、次につながる大事な一歩です。
注意したい関わり方
「みんなやってるよ」で押し切らない
周りの子が参加していると、親は焦ります。
でも、「みんなできている」は、子どもには責められている言葉として届きやすいです。
比べるより、「どこならできそう?」と戻れる場所を探します。
本番だけをゴールにしすぎない
運動会は大きな行事なので、本番の姿に目が向きます。
ただ、子どもにとっては、毎日の練習も大きな経験です。
本番で完璧にできなくても、練習で一度並べた、音が鳴っても先生の近くにいられた、途中で休めたことも大切です。
親だけで抱え込まない
運動会の練習は、家庭だけでは調整しにくい場面です。
園や学校で起きている困りごとは、先生と共有して大丈夫です。
「迷惑をかけるから」と我慢し続けるより、早めに小さく相談するほうが、子どもも大人も準備しやすくなります。
相談したほうがよいサイン
運動会の練習が苦手なこと自体は、珍しいことではありません。
ただ、次のような状態が続くときは、園・学校、療育先、小児科、発達相談などに相談してください。
- 練習の日だけでなく、毎朝強い不安が続く
- 眠れない、食べられない状態が続いている
- 音や人混みへの苦手さで生活全体がつらい
- 登園・登校そのものが難しくなっている
- 親が疲れ切って、毎日の対応が苦しい
家庭だけで頑張り続けなくて大丈夫です。
行事の参加は、子どもの気持ち、体の疲れ、感覚の苦手さ、園や学校の環境が重なります。周りの大人と一緒に、無理のない参加の形を探していきましょう。
今日からできる小さな一歩
まずは、子どもが嫌がっている理由を1つだけ分けてみてください。
音なのか、待つことなのか、暑さなのか、失敗を見られることなのか。
分からないときは、選べる形にします。
「音? 待つ? 走る?」
答えが出なくても大丈夫です。
親が「全部嫌なんだ」と受け止める前に、困っている場所を分けようとするだけで、次の相談がしやすくなります。
運動会の練習を嫌がる姿は、親にとって心配なものです。
でも、参加の形はひとつではありません。見学、短時間、音の場面だけ離れる、先生の近くで待つ。子どもが安心して経験できる形を、少しずつ探していきましょう。
音や集団行事の負担をもう少し整理したいとき
まとめ
- 運動会の練習を嫌がる背景には、音、待ち時間、暑さ、集団の動き、失敗への不安が重なっていることがあります。
- 最初の目標は全部参加ではなく、安心して参加できる形を見つけることです。
- 家庭では、練習の流れを見える形にし、苦手な場面を「音」「待つ」「動き」に分けて見ます。
- 園や学校には、家での様子、苦手な場面、試したい小さな対応を分けて伝えると相談しやすくなります。
- うまくいかない日があっても、親が悪いわけではありません。必要なときは、早めに周りの大人へ相談して大丈夫です。

