「うちの子、食べられるものがとても少なくて心配」
「給食の時間が憂うつで…」
発達がゆっくりなお子さんを育てていると、偏食に悩む場面が多くあります。食べない理由を叱っても、食事の時間がますます苦しくなってしまいます。
まず知っておいてほしいのは、偏食は「わがまま」ではないということです。お子さんなりの理由があります。
なぜ偏食になるのか
発達障害や知的障害のあるお子さんの偏食には、感覚の特性が関係していることがあります。
食べ物の温度のわずかな違い、においの強さ、舌ざわり(ザラザラ・ネバネバなど)に敏感で、大人にはわからない不快感を感じているお子さんがいます。また、こだわりの強さから「この容器でないと食べない」「白いごはんしか口にしない」といったパターンが見られることもあります。
口の中の筋肉の発達がゆっくりで、かみちぎる・噛み砕く動作そのものが難しい場合もあります。
家庭でできる小さな工夫
すぐに食べられる食材が増えるわけではなくても、日々の食卓を少しずつ心地よい場所にしていくことはできます。
- 「見るだけ」「触るだけ」から始める:食べなくてもOK。近くに置くだけでも一歩前進です
- 食器やスプーンの形・色を変えてみる:お気に入りの食器があると食が進むことがあります
- 食卓を静かな環境に整える:テレビを消す、食事中の声かけを減らすなど
- 一口量を極小にする:豆粒大から始めて、少しずつサイズを大きくしていく
- 好きな味と組み合わせる:ケチャップ、のり、ふりかけなど
「今日は触れた」「スプーンが口の近くまで行けた」——そんな小さな変化も、十分すぎるほどの前進です。何日・何週間単位で見守る気持ちで。
声かけで気をつけたいこと
「ひとくちだけ食べなさい」という言葉が効くお子さんもいますが、感覚に強く影響が出る場合は、食事そのものが怖くなってしまうことがあります。
- 食べられなかったときにがっかりした表情を見せない
- 「食べようね」よりも「お皿にあるだけで、えらいね」など肯定的な声かけ
- 残した量ではなく、食べられた量に注目する
- 他のお子さんやきょうだいと比べない
「食べる・食べない」の勝ち負けではなく、「一緒に食卓を囲む時間そのものが大切」という視点を持つと、親御さんの心も少し楽になります。
専門家への相談を考えたい目安
家庭での工夫を続けながらも、次のような様子が続く場合は、小児科医や発達の専門医、言語聴覚士(ST)・作業療法士(OT)への相談を検討してください。
- 体重や身長の伸びが極端にゆっくりになってきた
- 食べられる食材が数種類以下に限られている状態が長く続いている
- 飲み込みのときにムセや咳き込みが目立つ
- 食事場面で強い不安・癇癪が毎回起きる
療育施設や放課後等デイサービスで、摂食に関する指導を受けられる場合もあります。地域の保健師さんや療育の担当者に気持ちを共有してみるのもおすすめです。
まとめ
偏食は、感覚や発達の特性からくるものです。急に食べられるものが増えなくても、小さな工夫と焦らない声かけを続けることで、食卓が親子にとって少し楽な時間に近づいていきます。
一人で悩まず、周囲のサポートや専門家の力も借りながら、お子さんのペースを大切にしていきましょう。


