自己肯定感を育てる声かけ〜発達がゆっくりな子の「どうせできない」が「やってみよう」に変わることば〜

療育・発達の悩み

「どうせぼくはダメだから」「わたしにはできない」。

そんなことばがお子さんの口から出るたびに、胸がぎゅっとなりますよね。

発達がゆっくりなお子さんは、集団の中で「みんなと同じようにできない」と感じる場面が多く、うまくいかない経験が積み重なりやすいです。だからこそ、家庭での毎日の声かけが、心の土台を支える大きな力になります。

この記事では、つい言ってしまいがちなNGパターンと、自己肯定感を育てる声かけのコツ、場面別の実例をまとめました。

自己肯定感って何?なぜ大切なの?

自己肯定感とは、「自分はここにいていい」「自分はこれでいいんだ」と思える気持ちのことです。

学力や運動能力とは別のもので、どんな子にも育てていくことができます。

自己肯定感が育ってくると、失敗してもまた挑戦しようとする気持ちや、困ったときに「助けて」と言える力が出てきます。反対に、注意される経験ばかりが積み重なると、「どうせやってもダメ」という思い込みが先に育ってしまいます。

その分かれ道を支えるのが、毎日の何気ない声かけです。

つい言ってしまいがちなNG声かけ

忙しい毎日の中で、つい口から出てしまう言葉があります。まずはパターンを知っておくと、意識しやすくなります。

  • 他の子と比べる言葉:「○○ちゃんはできるのに」「お兄ちゃんはもっと早かったよ」。比べられると、「自分はダメだ」と感じやすくなります。
  • 結果だけを見る言葉:「なんで間違えたの?」「また失敗したの?」。がんばった途中の姿が見えなくなってしまいます。
  • 存在を否定する形の言葉:「だからあなたはダメなのよ」「何回言ったらわかるの?」。行動ではなく、自分そのものを否定されたように届いてしまいます。

こうした言葉を言ってしまっても、ご自身を責めないでくださいね。焦りや心配から出てしまうのは自然なことです。完璧を目指すのではなく、言いやすい場面から少しずつ変えていけば大丈夫です。

自己肯定感を育てる5つの声かけのコツ

日常に取り入れやすい順に、5つのコツをご紹介します。

  • ①結果よりも過程をほめる:「最後までやろうとしたね」「自分で考えたんだね」。うまくいかなくても、取り組んだこと自体を認めます。
  • ②具体的に伝える:「すごいね」だけでなく、「靴をそろえて脱げたね」「色の使い方がきれいだね」。何がよかったのかが分かると、子どもは自分の力に気づけます。
  • ③気持ちを言葉にしてあげる:「くやしかったね」「うれしかったね」。気持ちを受け止めてもらえた安心感が、「自分の気持ちは大事にしていい」という感覚につながります。
  • ④小さな「できた」を一緒に喜ぶ:スプーンが上手に使えた、ボタンが留められた。昨日の自分より少し進んだことを、一緒に喜びます。
  • ⑤存在そのものを認める言葉をかける:「あなたがいてくれてうれしいよ」「大好きだよ」。何かができたかどうかに関係なく届ける言葉が、自己肯定感の土台になります。

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声かけを体系的に学びたいときは、ペアレントトレーニングの考え方をやさしくまとめた本が助けになります。「ほめ方の順番」が分かると、毎日の声かけがぐっと楽になります。

場面別|今日から使える声かけの例

実際の生活の場面ごとに、そのまま使える言い方を集めました。

うまくいかなくて落ち込んでいるとき
「うまくいかなくて悔しいよね。でも、やってみようと思ったことがすごいよ。」

朝の支度・生活の場面
「靴下、自分で履けたね!」「昨日よりも早くできたね。」

新しいことを怖がっているとき
「怖いなって思うのは当たり前だよ。そばにいるから、ちょっとだけやってみようか。」

お友だちとうまくいかなかったとき
「嫌な気持ちになったんだね。あなたの気持ち、ちゃんとわかるよ。」

癇癪(かんしゃく)やパニックのあと
「落ち着いてきたね。気持ちを伝えようとしてくれたんだね。」

何もない、ふだんの日常で
「あなたのそういうところ、好きだよ。」「今日も一緒にいられてよかった。」

気持ちの立て直しがむずかしい日は、こちらの記事も参考になります。

今日からできる小さな一歩

  • 今日の「できた」を1つだけ言葉にして伝える
  • 比べる言葉が出そうになったら、昨日のその子と比べる
  • 寝る前に「大好きだよ」を1回言う

自己肯定感は一日では育ちませんが、小さな声かけの積み重ねが「自分は大丈夫」という安心感を少しずつ育てます。がんばっているご自身のことも、どうか認めてあげてくださいね。

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