「心配して声をかけたのに、子どもが黙り込んでしまった」
「励ましたつもりだったのに、以前より学校の話を避けるようになった」
不登校の子どもと関わっていると、このような行き違いが起こることがあります。保護者も教師も、子どもを苦しめようとしているわけではありません。それでも、大人が伝えたかった思いと、子どもが受け取った意味が異なることがあります。
今回は、保護者と教師の両方の視点から、起こりやすいすれ違いと関わり方を考えてみます。
1.「将来のため」という言葉が、今の子どもを追い詰めることがある
保護者にとって、進学や将来を心配するのは自然なことです。教師にも、学習の遅れや出席日数について説明する役割があります。
しかし、子ども自身も将来への不安を抱えている場合があります。そのときに「このままで大丈夫?」「いつから来られそう?」と繰り返し聞かれると、責められていなくても、責められたように感じることがあります。
まずは未来の結論を急がず、
「今日は少し眠れた?」
「今、困っていることはある?」
「話したくなったら聞かせてね」
と、今日の状態に目を向けることも大切です。
2.話を聞こうとすることが、負担になる場合もある
保護者は家庭での様子を知りたいと思い、教師は学校でできる支援を考えるために事情を聞こうとします。けれども、子どもが自分の状態をまだ言葉にできないこともあります。
「何が嫌だったの?」
「理由を話してくれないと分からない」
という問いが続くと、会話そのものを避けるようになるかもしれません。
話してもらうことだけを目標にせず、黙っていても安心できる関係を保つことが、後の対話につながる場合があります。
3.保護者の「休ませたい」と、教師の「つながっていたい」
家庭では、子どもを十分に休ませたいと考えることがあります。一方、学校では、孤立させないために連絡を続けたいと考えることがあります。どちらも子どもを思っての判断ですが、連絡の頻度や方法が本人に合わなければ、負担になることがあります。
家庭と学校で、次のことを確認しておくとよいでしょう。
- 誰が連絡するのか
- どのくらいの頻度にするのか
- 返事を求めるのか
- 学校の話題をどこまで扱うのか
あらかじめ相談しておくことで、子どもが複数の大人から同時に働きかけられる状況を避けやすくなります。
4.「見守る」と「放っておく」は同じではない
本人の意思を尊重しようとして距離を取ることもあります。ただ、子どもの状態によっては、それを「見捨てられた」と受け取ることがあります。
細かく行動を管理する必要はありませんが、
「今すぐ決めなくて大丈夫」
「必要なときは一緒に考えるよ」
「学校に来ていないときも、あなたのことを気にかけているよ」
と、つながりが切れていないことを伝えるのは大切です。
5.大人同士が正解を争わない
保護者と教師では、見えている子どもの姿が異なります。家庭では疲れ切っていても、先生との短い面談では元気そうに振る舞うことがあります。その逆もあります。
「家庭ではできている」「学校ではできていない」と評価するのではなく、それぞれの場所で違う姿を見せている可能性を考えます。
保護者と教師が互いの関わり方を批判するのではなく、「どのような場面で安心しているか」「何をした後に疲れているか」といった具体的な様子を共有することが、支援の手がかりになります。
完璧な言葉より、修正できる関係を
不登校の子どもに対して、いつでも正しい言葉を選べる大人はいません。心配から言いすぎたり、よいと思った提案が負担になったりすることもあります。
大切なのは、失敗しないことではなく、
「今の言い方は苦しかったかな」
「どうしてほしいか、一緒に探していこう」
と、関わり方を見直せることではないでしょうか。
保護者も教師も、一人で抱え込む必要はありません。子どもの心身の不調が強い場合や、安全面に不安がある場合は、学校内の相談担当者や医療・心理・福祉などの専門機関につなぐことも必要です。
※本記事は、特定の子どもの状態を診断したり、個別の支援方法を断定したりするものではありません。お子さんの状態に応じて、学校や専門機関へご相談ください。


