発達障害や知的障害、ダウン症などのお子さんを育てるご家庭では、そのきょうだい——いわゆる「きょうだい児(じ)」——が独特の立場に置かれることがあると言われています。親御さんは無意識のうちに発達がゆっくりなお子さんに手をかけることが多くなり、きょうだい児がそっと我慢を抱えてしまうこともあるようです。今回は、きょうだい児の気持ちに寄り添いながら、家族みんなが心地よく過ごすためのヒントをお伝えします。
きょうだい児が抱えやすい気持ちを知っておく
きょうだい児の中には、年齢以上に「しっかりしなくては」と感じて行動するお子さんが多いと言われています。ご両親が忙しそうな様子を見て、自分の気持ちを後回しにする習慣が、自然と身についてしまうこともあるようです。
一方で、心の奥には「自分も甘えたい」「もっと見てほしい」という気持ちがあるのも、ごく自然なことです。表面的にはお手伝いをがんばる「いい子」に見えても、実は寂しさや嫉妬、不安を抱えていることが少なくありません。まずは、こうした感情があるのは当たり前のことだと、保護者ご自身が知っておくだけでも、関わり方が少しずつ変わってくるようです。
「あなただけの時間」を意識して作る
毎日のなかで、きょうだい児と二人きりで過ごす「特別な時間」を少しでも作ることが、安心感につながると言われています。長い時間でなくても大丈夫です。たとえば次のような工夫が考えられます。
- 10分だけ二人で絵本を読む
- 一緒におやつを買いに行く
- お風呂の時間にじっくり話を聞く
- 寝る前に「今日のうれしかったこと」を共有する
「あなたのことも、ちゃんと見ているよ」というメッセージが伝わることが、何より大切です。短くても繰り返し続けることで、安心の土台が育っていくようです。
気持ちを言葉にする手伝いをする
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だから我慢してね」という言葉は、つい口にしてしまいがちですが、きょうだい児の心に小さな負担を残すことがあると言われています。代わりに、「我慢させてしまってごめんね」「待っていてくれてありがとう」と、相手のがんばりを言葉にして伝えてみてはいかがでしょうか。
また、お子さんがイライラしたり、「ずるい!」と言ったりしたときは、「そう感じるのは当たり前だよ」と、まずその気持ちを受けとめることが大切です。怒りや嫉妬は、決して悪い感情ではありません。気持ちを否定せず、言葉にする手伝いをすることで、自分の感情を整理する力が育っていくようです。
家族みんながフラットでいられる場を作る
きょうだい児だけが「我慢する側」にならないように、家族のなかでフラットに意見を言える場を意識してみるのもおすすめです。たとえば、休日の過ごし方を決めるときに、家族全員の希望を順番に聞いてみる、というだけでも雰囲気は変わってきます。
「今日はお姉ちゃんの行きたい場所」「次の日はぼくの行きたい場所」のように、それぞれの番が回ってくる仕組みがあると、きょうだい児にも「自分の気持ちが大切にされている」という実感が芽生えやすくなるようです。完璧に平等でなくても、「順番に大切にされる」感覚が積み重なることが、家族の安心感につながっていきます。
同じ立場の仲間や相談先につながる
きょうだい児が安心して気持ちを話せる相手は、家族の外にもあると心強いと言われています。最近では、きょうだい児同士が交流できる「きょうだい会」や、ヤングケアラー支援の窓口、スクールカウンセラーなど、相談先も少しずつ広がってきているようです。
地域によっては、自治体や福祉団体が交流会を開催していることもあります。お住まいの地域の保健センターや相談支援事業所に問い合わせてみると、思いがけないつながりが見つかるかもしれません。「家族以外にも、自分の話を聞いてくれる人がいる」という実感は、お子さんにとって大きな支えになっていくようです。
まとめ
きょうだい児への配慮は、特別なことをしなければいけないわけではありません。「あなたのことも大切に思っているよ」というメッセージを、日々の小さな関わりのなかで伝え続けることが、何よりのサポートになると言われています。発達凸凹のあるお子さんも、きょうだい児も、それぞれが自分らしく過ごせる家族の時間を、少しずつ育てていけたら素敵ですね。

