「なかなか寝てくれない」「夜中に何度も起きてしまう」——発達に特性のあるお子さんの睡眠について、悩んでいる保護者の方は少なくないようです。毎日のことなので、お子さんだけでなく、ご家族の心と体にも負担がかかりますよね。今回は、発達障害のあるお子さんに見られやすい睡眠の悩みと、ご家庭でできる小さな工夫についてお伝えします。
発達障害のあるお子さんに多い睡眠の悩み
自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)のあるお子さんは、定型発達のお子さんに比べて睡眠のトラブルを抱えやすいと言われています。これは、感覚の過敏さや体内時計の調整のしにくさ、不安を感じやすい特性などが関係していると考えられているようです。
よく見られる悩みには、次のようなものがあります。
- 布団に入っても1〜2時間寝つけない
- 夜中に何度も目を覚ましてしまう
- 明け方早くに起きてしまう
- 眠りが浅く、小さな物音で起きる
- お昼寝の時間が長く、夜の睡眠に影響する
「うちの子だけかな?」と悩まずに、まずは「そういう特性があるのかもしれない」と受け止めることが、最初の一歩になります。
寝つきをよくするための環境づくり
感覚が敏感なお子さんにとって、寝室の環境はとても大切です。少しの明るさや音、肌ざわりの違いで眠りにくくなることがあるようです。
明るさの工夫:就寝1時間前には部屋を少し暗めにして、テレビやスマートフォンなどの強い光を避けるようにすると、体が自然と「眠る時間」に切り替わりやすくなると言われています。真っ暗が怖いお子さんには、オレンジ色のやさしい常夜灯がおすすめです。
音の工夫:静かすぎる環境が落ち着かないお子さんには、ホワイトノイズや小さな音量の音楽を流してみるのも一つの方法です。逆に音に敏感なお子さんには、耳栓や遮音カーテンも検討してみましょう。
寝具の工夫:肌ざわりに敏感なお子さんの場合、素材を綿100%に変えたり、適度な重さの毛布(ウェイトブランケット)を使ったりすると、安心して眠れることがあるようです。
入眠を助ける「夜のルーティン」のつくり方
発達に特性のあるお子さんは、「次に何が起こるか」がわかることで安心できる傾向があると言われています。毎晩同じ順序で行動することで、「これをしたら次は眠る時間だ」と体と心が自然に準備できるようになります。
たとえば、次のような流れを決めておくのはいかがでしょうか。
- 夕食・お風呂(就寝の1〜2時間前までに済ませる)
- 歯みがき・トイレ
- パジャマに着替える
- 部屋の明かりを落として、絵本を1冊読む
- 「おやすみ」のごあいさつをして布団に入る
手順をイラスト付きのカードにして見える場所に貼っておくと、お子さん自身で次の行動がわかり、スムーズに動けることが多いようです。毎日続けるうちに、ルーティンそのものが「眠りへのスイッチ」になっていきます。
夜中に起きてしまうときの対応
夜中に目が覚めてしまうお子さんに対しては、できるだけ「夜は静かに過ごす時間」ということを伝えるのがよいと言われています。部屋を明るくしたり、長く話しかけたりすると、お子さんの体が「起きる時間」と勘違いしてしまうことがあるそうです。
対応のポイントは次のとおりです。
- 部屋は薄暗いままにしておく
- 声かけは短く、やさしいトーンで
- 抱きしめたり背中をそっとなでたりして安心させる
- 時計を見せず、「まだ夜だよ、もう少しおやすみしようね」と伝える
それでも眠れない場合は、無理に寝かしつけようとせず、布団の中で静かに過ごすだけでもOKです。保護者の方も、ご自身が眠れる時間を確保できるように、パートナーや家族と交代で対応するなど、ご家族みんなで支え合える仕組みを考えてみましょう。
悩みが続くときは専門家に相談を
工夫を続けても睡眠の悩みが改善しない、日中の生活に大きく影響している、というときは、かかりつけの小児科や発達外来、療育機関の先生に相談してみることをおすすめします。睡眠に関する相談は決して特別なことではなく、生活の質を高めるための大切な一歩です。
医師の判断によっては、睡眠のリズムを整えるためのサポート(メラトニン製剤など)が検討されることもあるようです。自己判断ではなく、必ず専門家と相談しながら進めるようにしましょう。
まとめ
発達に特性のあるお子さんの睡眠は、環境・ルーティン・関わり方の小さな工夫で少しずつラクになっていくことがあります。すぐに劇的な変化はなくても、続けていくうちに「今日は早く眠れたね」と感じられる日がきっと増えていくはずです。保護者の方もどうか無理をせず、ご自身を大切にしながら、お子さんと一緒にゆっくり取り組んでいきましょう。
