ペアレントトレーニングって何?基礎知識と家庭でできる実践例

子育て・療育
「子どもへの接し方が合っているのかわからない」「叱ってばかりで自己嫌悪になる」——そんな気持ちを抱えている保護者の方はとても多いと思います。発達に特性のある子の子育ては、一般的な育児書が参考にならないことも多く、毎日試行錯誤の連続ですよね。そのような保護者の方に、ぜひ知っていただきたいのが「ペアレントトレーニング」です。

ペアレントトレーニングとは?

ペアレントトレーニング(以下、ペアトレ)とは、発達障害やその傾向のある子どもを育てる保護者向けに開発された、子どもへの関わり方を学ぶプログラムです。1970年代にアメリカで始まり、現在は日本でも全国の療育機関・病院・発達支援センターなどで実施されています。 ペアトレは「しつけ」や「矯正」ではなく、親自身がコミュニケーションのスキルを身につけ、子どもとの関係をより良くしていくことを目的としています。全体で6〜10回程度のグループセッションが多く、同じ悩みを持つ親同士がつながれる場にもなっています。

ペアレントトレーニングで学ぶ主なスキル

プログラムの内容は実施機関によって多少異なりますが、主に次のようなスキルを学びます。
  • 行動の観察と記録:子どもの行動を「良い行動」「困った行動」「危険な行動」に分けて見る視点を養います。
  • 効果的なほめ方:具体的に・すぐに・短くほめる「ABC(先行刺激・行動・結果)」の考え方を学びます。
  • 指示の出し方:子どもに伝わりやすい指示の出し方(短く・具体的に・一度に一つ)を練習します。
  • 問題行動への対応:無視(計画的無視)と代替行動の提示を組み合わせて対応する方法を学びます。
  • トークンエコノミー:シールやポイントを使って、良い行動を強化する仕組みを作ります。

家庭でできる実践例①「ほめる」を意識的に増やす

ペアトレで最初に取り組むのが「ほめること」の練習です。発達に特性のある子は、できないことや困った行動が目立ちやすく、親もつい注意や叱責が多くなりがちです。しかし子どもにとって、親からの注目・反応はとても強い報酬になります。叱られることが続くと、かえって困った行動が強化されてしまうこともあると言われています。 そこで意識してほしいのが「できていることに注目してほめる」習慣です。たとえば——
  • 「靴を自分で履けたね!すごいね!」(結果ではなく行動をほめる)
  • 「待っていてくれてありがとう。助かったよ」(感謝の気持ちもはさまのほめ」)
  • 「さっき静かに座っていられたね」(小さな成功を見逃さない)
最初は「こんな小さなことで?」と感じるかもしれませんが、ほめる回数を増やすこと自体が大切です。1日1回を目標に意識してみてください。

家庭でできる実践例②「指示」の出し方を変えてみる

「○○しなさい!」と言ってもなかなか動いてくれない——こんな場面は多くの家庭で起きていると思います。ペアトレでは、子どもに伝わりやすい指示の出し方を次のように整理しています。
  • 短く・具体的に:「ちゃんとして」ではなく「椅子に座って」
  • 一度に一つだけ:「着替えて、顔洗って、ご飯食べて」は一気に言わない
  • 子どもの近くで・目を見て:遠くから声をかけるだけでは伝わりにくいことが多いようです
  • ポジティブな言い方で:「走らない」より「欩いてね」
これらは特別なことではありませんが、毎日意識して実践するだけで子どもの反応が変わることがあります。最初はうまくいかなくても、繰り返しのなかで少しずつ定着していくことが多いようです。

家庭でできる実践例③ シールシートでやる気を引き出す

「トークンエコノミー」とは、目標の行動ができたらシールやスタンプをもらい、一定数たまったらご罧美と交換できる仕組みです。子どもにとってわかりやすいルールと視覚的なフィードバックが、やる気を引き出す効果があると言われています。 家庭での実践例としては、次のような形が取り組みやすいです。
  • 「朝の準備ができたらシール1枚」→ 10枚たまったら好きな本㄀1冊買う
  • 「夕食後に学習に取り組んだらスタンプ」→ 5個で映画タイムのご罨美
大切なのは目標の行動を小さく設定すること。「宇題を全部終わる」ではなく「机に5分座る」からスタートするなど、確実に成功体験が積めるレベルに調整してみてください。

ペアレントトレーニングはどこで受けられる?

ペアトレは、以下のような場所で実施されていることが多いようです。
  • 発達障害者支援センター(各都道府県に設置)
  • 児童発達支援・放課後等デイサービス(保護者向けプログラムとして)
  • 小児科・精神科・発達外来のある病院
  • 子育て支援センター・市区町村の保健センター
「受けてみたいけど、どこに問い合わせればいいか迷う」という場合は、まずはお子さんが通っている療育機関や学校の支援担当の先生に相談してみるのが近道です。オンラインで受けられるプログラムも増えてきていると言われていますので、まずは情報収集から始めてみてください。

まとめ

ペアレントトレーニングは「親が変わることで子どもも変わる」という考え方をベースにした、とても実践的なプログラムです。「自分の関わり方が悪いのかも……」と自分を责めるのではなく、スキルとして学べることがあると知っておくだけで、少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。今日ご紹介した小さな実践から、ぜひ試してみてくださいね。

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