発達障害や知的障害、ダウン症のあるお子さんを育てていると、どうしてもその子のサポートに多くの時間や気力を使ってしまいますよね。そんな中で「きょうだい児(障害のある子のきょうだい)のことが後回しになっている気がして…」と感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。きょうだい児は表面上は元気に見えても、心の中にさまざまな思いを抱えていることがあります。
きょうだい児が抱えやすい気持ち
きょうだい児は、障害のある兄弟姉妹と共に育つ中で、さまざまな複雑な感情を持つことが多いようです。代表的なものとして、次のような気持ちが挙げられます。
- 罪悪感:「自分は障害がないのに、なぜあの子は…」という申し訳なさを感じることがあります。
- 嫉妬と怒り:親の注目が障害のある子に集中していると感じ、「ずるい」「なんで私ばっかり我慢するの」という感情が生まれることもあります。
- 過度な気遣い:「自分は問題を起こしてはいけない」「親を楽にさせてあげなければ」と、自分の気持ちを抑えて”良い子”を演じてしまう場合があります。
- 孤独感:友達に家族の状況を話せず、一人で抱え込んでしまうことがあります。
こうした気持ちは、決して「悪い気持ち」ではありません。きょうだい児が置かれた環境から自然に生まれる感情です。大切なのは、その気持ちを受け止めてもらえる場があるかどうかです。
親が気づいてあげたいサイン
きょうだい児は、自分の悩みを「言ってはいけない」と感じていることが多く、言葉で表現することが難しい場合があります。次のようなサインに気づいてあげることが、早めのフォローにつながります。
- 急に学校に行きたがらなくなったり、成績が落ちてきた
- ふさぎこむことが増えた、または逆に激しく反抗するようになった
- 「どうせ私のことなんてどうでもいいんでしょ」など、否定的な発言が増えた
- 体の不調(頭痛・腹痛など)を訴えることが増えた
- 弟や妹(障害のある子)への態度が急に変わった
こうしたサインが見られたとき、「もっとちゃんとしなさい」と注意するのではなく、まずは「最近どんな気持ち?」と静かに声をかけてみてください。
きょうだい児への具体的な関わり方
忙しい毎日の中でも、きょうだい児のために意識してほしい関わり方があります。すべてを完璧にする必要はありません。「ちょっとした意識の積み重ね」が、きょうだい児の心の安定につながっていきます。
- 1対1の時間をつくる:週に一度でも、きょうだい児だけと過ごす時間(買い物、散歩、一緒にゲームなど)を大切にしましょう。「あなたのことを大切にしている」というメッセージが伝わります。
- 気持ちを言葉で聞く:「最近学校どうだった?」「何か困っていることある?」など、日常会話の中でさりげなく気持ちを聞く習慣を。すぐに話してくれなくても、聞いてくれる人がいるという安心感が大切です。
- 過度な役割を押し付けない:「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だから我慢して」「あなたがしっかりしてくれると助かる」という言葉は、きょうだい児の負担になることがあります。年齢に見合った関わりを意識しましょう。
- 障害について正直に話す:年齢に合わせた言葉で「○○ちゃんはこういう特性があって、こんな支援が必要なんだよ」と伝えると、きょうだい児の理解や受け入れにつながります。知らないままでいると、不安や疑問が膨らんでしまいます。
- 「ありがとう」を伝える:日ごろから気を遣ってくれているきょうだい児に、「いつも助かってるよ」「ありがとう」と伝えることが、自己肯定感(じここうていかん:自分を大切に思う気持ち)を守ることにつながります。
きょうだい支援のリソースを活用しよう
最近では、きょうだい児を対象とした支援や集まりも少しずつ増えています。「シブリング(きょうだい)サポート」などの取り組みでは、同じ立場のきょうだい児が集まって気持ちを話し合える場が設けられています。親以外の大人や同じ経験を持つ仲間と話すことで、「自分だけじゃないんだ」と感じられることがあります。
また、きょうだい児の気持ちに寄り添うための絵本や書籍も出版されています。子どもの年齢や状況に合わせて活用してみてください。スクールカウンセラーや担任の先生に相談してみることも、一つの選択肢です。
まとめ
きょうだい児は、障害のある兄弟姉妹を持つ家族の中で、たくさんのことを感じ、学んでいます。でも同時に、一人の子どもとして、愛情を受け、自分の気持ちを表現する権利があります。完璧な対応でなくてもいい。「あなたのことを大切にしている」というメッセージが伝わる関わりを、少しずつ積み重ねていきましょう。保護者の皆さん自身も、抱え込まずに周りに頼ることが、家族全員の幸せにつながりますよ。
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